脳卒中は介護が必要となった原因の第一位
脳卒中とは、脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血、くも膜下出血)することにより、脳内の細胞の一部が壊死したり、働きが悪くなってしまい、手足の麻痺や意識障害などの神経症状が現れた状態をいいます。
脳卒中は、悪性新生物(がん)、心疾患に次いで、第3位となっています。しかし、脳卒中の患者数は、高齢化に伴い、今後も増加することが予測されています。
脳卒中の特徴は、後遺症として身体機能障害や精神機能障害が残ることで、介護が必要となった原因の第1位となっています。
すなわち、脳卒中になると、患者さんはもちろんのこと、その家族にとっても、大きな負担がかかることに繋がりますので、その予防や脳卒中発症時の脳障害を軽減することはとても重要です。
緑茶カテキンの脳卒中予防効果
遺伝的に高血圧を発症して、その後、脳出血を起こす実験動物モデルである脳卒中易発症性高血圧自然発症ラットに、緑茶より抽出した茶カテキン(商品中にエピガロカテキンガレート58,4%含有)の0.5%水溶液を若いころから飲ませると、水を飲ませたラットに比べて血圧の上昇が穏やかとなり、脳卒中が起こりにくくなることが明らかとなりました。
また、茶カテキン製品であるポリフェノンEの0.5%水溶液を5日間飲ませたラットを用いて、一時的に脳血流を止めて実験的な脳梗塞を起こさせた場合においても、水だけを飲ませたラットに比べて、脳障害の程度が小さく、神経症状も軽くなることがわかりました。
これらの茶カテキンによる脳卒中予防効果・脳障害軽減効果は茶カテキンがもつ、血圧を上昇させるホルモンの生成を抑える作用や、脳卒中が起きた時に生成される活性酸素を除去する作用が関係していると考えられます。
介護が必要となった原因
- 脳血管疾患(脳卒中) 24.1%
- 認知症 20.5%
- 高齢による衰弱 13.1%
- 骨折・転倒 9.3%
- 関節疾患 7.4%
- 心疾患 3.2%
- その他 22.4%
(厚生労働省「平成22年国民生活基礎調査」より)
(参考資料:近畿大学医学部講師 田渕正樹氏)
緑茶カテキンと健康効果のまとめ 全10章
- 【1】緑茶は理想的な機能性食品
- お茶の食品としての機能は嗜好面での働き(二次機能)、生理機能の向上、疾病の予防や症状改善などの三次機能に分類されます。
- 【2-1】緑茶の抗がん作用
- 緑茶には健康維持に役立つ様々な成分がありますが、エピガロカテキンガレートと呼ばれるものが抗ガン作用の担い手のようです。
- 【2-2】発がん促進抑制効果
- 緑茶の有効成分は主にカテキン類と考えられています。発がん開始の抑制、発がん促進・進展の抑制、いろいろなメカニズムが明らかにされてきました。
- 【2-3】大腸ポリープの再発予防
- 緑茶を飲んでいる人が大腸ポリープの再発率が低いことがわかりました。一体どの程度摂取しているのでしょうか?
- 【3-1】カテキン作用で体脂肪が減る
- 高濃度の茶カテキンを継続して摂取することによって、日常活動時の脂肪燃焼量や食事から摂った脂肪の燃焼量が増大すること、肝臓や筋肉での脂質代謝が活発になることが確認されています。
- 【3-2】カテキンとカフェインは肥満を抑える
- 緑茶カテキンとカフェインのダブル作用で肥満抑制効果があることが実験で確認されています。
- 【3-3】体脂肪を低下させる
- カテキンが体脂肪を低下させる!?ガレート型カテキンの作用で食後の血液中の中性脂肪の上昇が抑えられます。
- 【3-4】血圧の上昇を抑える
- 緑茶ポリフェノール自身も活性酸素を除去する働きがありますが、緑茶を飲むと、体内の活性酸素除去酵素が増え、血管拡張が促進される結果、血圧上昇が抑えられると考えられます。
- 【3-6】動脈硬化を予防する
- 緑茶を飲むと、茶カテキンが消化管から吸収されて血中に入り、LDLの酸化が抑えられて、動脈硬化の発症・進展が予防できると考えられます。
- 【3-7】血糖上昇を防ぐ
- 茶カテキンには、糖質の吸収を穏やかにする働きがあります。食品中の糖質は、小腸で消化酵素(α‐グルコシターゼ)によってブドウ糖や果糖などに分解された後、体内に吸収されます。 茶カテキンは、このα-グルコシターゼの活性を抑えることで、体内への糖質の吸収量を減少させ、血糖値を低く抑える働きを持っています。
- 【3-8】糖尿病の予防と改善
- 培養細胞や動物を使った実験により、茶カテキンはアミラーゼ活性の阻害、肝糖新生の抑制、膵細胞の保護、インスリン分泌の促進、筋肉へのブドウ糖取り込みの促進、抗炎症作用など実にいろいろの作用を通して抗糖尿病作用をあらわすことがわかってきました。
- 【4-1】ウイルス感染を防ぐ
- 緑茶にはインフルエンザウイルスや風の原因となるウイルスを無効化する成分のエピガロカテキンガレートやストリクチニンという成分が含まれています。
- 【4-2】緑茶カテキンとインフルエンザ
- 緑茶カテキン抽出物でうがいをした結果、水のうがいと比べてインフルエンザの発症が減少したという報告があります。
- 【5-1】エピガロカテキンが粘膜免疫系強化
- 緑茶カテキンの中のエピガロカテキン(EGC)という成分は、粘膜免疫系を活性化して病原体の侵入を防ぎます。
- 【5-2】花粉症やアレルギーに効果
- ガレート型カテキンのガレートの一部がメチルエーテル化された茶カテキンのメチル化カテキンは抗アレルギー作用を発揮することが分かっています。
- 【6-1】アンチエイジングと美容効果
- 緑茶には茶カテキンと美容効果に優れ、皮膚や血管の老化を防ぐビタミンとして知られるビタミンCを始め美容に効果のある成分がたっぷり含まれています。
- 【6-2】認知症予防と抗ストレス作用
- 緑茶にはカテキンとテアニンと呼ばれる成分が脳の老化を防止することが分かってきました。テアニンには抗ストレス効果もあることがわかってきています。
- 【7-1】ストレス緩和効果
- 緑茶のストレス緩和効果にはカテキンとテアニンが作用していると考えられます。テアニンの抗ストレス作用は注目です。
- 【7-2】酸化ストレスを防ぐ
- ビタミンCは、コラーゲンの生成に不可欠の栄養素であり、たんぱく質や脂質、炭水化物、さらにはDNA(核酸)の過酸化を防ぎます。茶カテキンのエピガロカテキンガレートのビタミンCを上回ります。
- 【8-1】緑茶抽出液に放射線防護効果
- 緑茶抽出液に放射線防護効果があることが報告されています。 茶カテキンなどの緑茶に含まれる成分が、ラジカル種を消去し、様々な障害を取り除きます。
- 【9-1】殺菌作用と食中毒予防
- 強力な茶カテキン「エピガロカテキンガレー」が食中毒原因菌を殺菌し、解毒作用を発揮します。
- 【9-2】虫歯予防と口臭予防効果
- 茶カテキンが虫歯を予防、口腔衛生を保ち、口臭も予防します。茶カテキンは様々な甘いお菓子や歯磨き、赤ちゃん用ウェットティッシュに利用されています。
- 【10】大規模栄養疫学調査「掛川スタディ」について
- 静岡県総合保健センターが発表した自治体別の統計によると、脳梗塞・脳内出血・虚血性心疾患などの5項目において、掛川市はどの項目についても県平均より患者数が少なく、健康指標に優れた地域であることがわかります。