食中毒予防の切り札
細菌性食中毒は食中毒の約5割を占め、毎年1万人前後が発症しています。
原因菌としては、カンピロバクター、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌O-157などが主なものです。
細菌性食中毒は2つのタイプに分かれ、カンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオは感染型で、黄色ブドウ球菌、O-157は毒素型です。
黄色ブドウ球菌は、食べ物内で増殖して腸管毒を作り出します。この毒素を食べ物と一緒に摂取することで食中毒が起こります。
O-157は食べ物と一緒に摂取された後、腸管内で増殖する時に、ベロ毒素を作り出して食中毒を引き起こします。
茶カテキンの殺菌作用と抗毒素・解毒作用
お茶に含まれるカテキンが殺菌作用と抗毒素(解毒)作用を持つことは実証されています。茶カテキンは、多くの病原菌の細胞膜や細胞壁を破壊し、抗生物質と同じような作用で殺菌します。
また、茶カテキンは、病原菌が作り出す多くの毒素に瞬時に結合して毒素の力を失わせ、抗毒素抗体と似た作用で解毒します。
強力なカテキン「エピガロカテキンガレート」
茶カテキンの中ではエピガロカテキンガレート(EGCG)がこの作用の主な担い手です。
茶カテキンは、細菌性食中毒原因菌のほとんどを数時間から24時間以内に殺菌することができます。
O-157の場合、1万個の細菌が、日常飲んでいる濃度のお茶1mlで3時間から5時間のうちに完全に殺菌されます。
ごく少量の茶カテキンが腸管毒やベロ毒素を解毒することは、試験管内だけでなくマウスを使った感染実験でも実証されています。
茶カテキンは酸に強い性質をもち、また体内に摂取された茶カテキンは大腸まで到達します。
それゆえに、食事中や食後に飲むお茶は、胃や腸管の中で食中毒原因菌を毒素に対して殺菌作用を発揮して、食中毒を予防できるのです。
カテキンを多く含む一善目のお茶がお勧めです。この食中毒予防効果は、カテキンを含む緑茶のみならず、ウーロン茶や紅茶(茶カテキンと同じような効果をもつテアフラビンを含んでいる)にも期待できます。
緑茶が渋くていやだという子供には砂糖入りの紅茶を飲ませるとよいでしょう。
ただし、テアフラビンがミルク中のたんぱく質と結合し、殺菌作用や抗毒素作用が失われることになるので、ミルクティーは避けましょう。
緑茶の場合も、食中毒の予防のためには、牛乳と一緒に飲まないほうが賢明でしょう。
(参考資料:昭和大学名誉教授 島村忠勝氏)
緑茶カテキンと健康効果のまとめ 全10章
- 【第1章】緑茶は理想的な機能性食品
- 【第2章】緑茶はがんに効く?
- 【第3章】メタボ中高年に朗報
- 【第4章】風邪の予防 撃退
- 【第5章】免疫機能の調節
- 【第6章】老化と認知症の予防
- 【第7章】ストレスの緩和
- 【第8章】放射線による害を防ぐ
- 【第9章】食中毒と虫歯予防
- EGCGの殺菌作用と食中毒予防
- 虫歯予防と口臭予防効果
- 【第10章】大規模栄養疫学調査
- 【1】緑茶は理想的な機能性食品
- お茶の食品としての機能は嗜好面での働き(二次機能)、生理機能の向上、疾病の予防や症状改善などの三次機能に分類されます。
- 【2-1】緑茶の抗がん作用
- 緑茶には健康維持に役立つ様々な成分がありますが、エピガロカテキンガレートと呼ばれるものが抗ガン作用の担い手のようです。
- 【2-2】発がん促進抑制効果
- 緑茶の有効成分は主にカテキン類と考えられています。発がん開始の抑制、発がん促進・進展の抑制、いろいろなメカニズムが明らかにされてきました。
- 【2-3】大腸ポリープの再発予防
- 緑茶を飲んでいる人が大腸ポリープの再発率が低いことがわかりました。一体どの程度摂取しているのでしょうか?
- 【3-1】カテキン作用で体脂肪が減る
- 高濃度の茶カテキンを継続して摂取することによって、日常活動時の脂肪燃焼量や食事から摂った脂肪の燃焼量が増大すること、肝臓や筋肉での脂質代謝が活発になることが確認されています。
- 【3-2】カテキンとカフェインは肥満を抑える
- 緑茶カテキンとカフェインのダブル作用で肥満抑制効果があることが実験で確認されています。
- 【3-3】体脂肪を低下させる
- カテキンが体脂肪を低下させる!?ガレート型カテキンの作用で食後の血液中の中性脂肪の上昇が抑えられます。
- 【3-4】血圧の上昇を抑える
- 緑茶ポリフェノール自身も活性酸素を除去する働きがありますが、緑茶を飲むと、体内の活性酸素除去酵素が増え、血管拡張が促進される結果、血圧上昇が抑えられると考えられます。
- 【3-5】脳卒中を防ぐ
- 茶カテキンによる脳卒中予防効果・脳障害軽減効果は茶カテキンがもつ、血圧を上昇させるホルモンの生成を抑える作用や、脳卒中が起きた時に生成される活性酸素を除去する作用が関係していると考えられます。
- 【3-6】動脈硬化を予防する
- 緑茶を飲むと、茶カテキンが消化管から吸収されて血中に入り、LDLの酸化が抑えられて、動脈硬化の発症・進展が予防できると考えられます。
- 【3-7】血糖上昇を防ぐ
- 茶カテキンには、糖質の吸収を穏やかにする働きがあります。食品中の糖質は、小腸で消化酵素(α‐グルコシターゼ)によってブドウ糖や果糖などに分解された後、体内に吸収されます。 茶カテキンは、このα-グルコシターゼの活性を抑えることで、体内への糖質の吸収量を減少させ、血糖値を低く抑える働きを持っています。
- 【3-8】糖尿病の予防と改善
- 培養細胞や動物を使った実験により、茶カテキンはアミラーゼ活性の阻害、肝糖新生の抑制、膵細胞の保護、インスリン分泌の促進、筋肉へのブドウ糖取り込みの促進、抗炎症作用など実にいろいろの作用を通して抗糖尿病作用をあらわすことがわかってきました。
- 【4-1】ウイルス感染を防ぐ
- 緑茶にはインフルエンザウイルスや風の原因となるウイルスを無効化する成分のエピガロカテキンガレートやストリクチニンという成分が含まれています。
- 【4-2】緑茶カテキンとインフルエンザ
- 緑茶カテキン抽出物でうがいをした結果、水のうがいと比べてインフルエンザの発症が減少したという報告があります。
- 【5-1】エピガロカテキンが粘膜免疫系強化
- 緑茶カテキンの中のエピガロカテキン(EGC)という成分は、粘膜免疫系を活性化して病原体の侵入を防ぎます。
- 【5-2】花粉症やアレルギーに効果
- ガレート型カテキンのガレートの一部がメチルエーテル化された茶カテキンのメチル化カテキンは抗アレルギー作用を発揮することが分かっています。
- 【6-1】アンチエイジングと美容効果
- 緑茶には茶カテキンと美容効果に優れ、皮膚や血管の老化を防ぐビタミンとして知られるビタミンCを始め美容に効果のある成分がたっぷり含まれています。
- 【6-2】認知症予防と抗ストレス作用
- 緑茶にはカテキンとテアニンと呼ばれる成分が脳の老化を防止することが分かってきました。テアニンには抗ストレス効果もあることがわかってきています。
- 【7-1】ストレス緩和効果
- 緑茶のストレス緩和効果にはカテキンとテアニンが作用していると考えられます。テアニンの抗ストレス作用は注目です。
- 【7-2】酸化ストレスを防ぐ
- ビタミンCは、コラーゲンの生成に不可欠の栄養素であり、たんぱく質や脂質、炭水化物、さらにはDNA(核酸)の過酸化を防ぎます。茶カテキンのエピガロカテキンガレートのビタミンCを上回ります。
- 【8-1】緑茶抽出液に放射線防護効果
- 緑茶抽出液に放射線防護効果があることが報告されています。 茶カテキンなどの緑茶に含まれる成分が、ラジカル種を消去し、様々な障害を取り除きます。
- 【9-2】虫歯予防と口臭予防効果
- 茶カテキンが虫歯を予防、口腔衛生を保ち、口臭も予防します。茶カテキンは様々な甘いお菓子や歯磨き、赤ちゃん用ウェットティッシュに利用されています。
- 【10】大規模栄養疫学調査「掛川スタディ」について
- 静岡県総合保健センターが発表した自治体別の統計によると、脳梗塞・脳内出血・虚血性心疾患などの5項目において、掛川市はどの項目についても県平均より患者数が少なく、健康指標に優れた地域であることがわかります。