酸化ストレスを防ぐ
茶葉には抗酸化性のあるビタミンCやカテキン類などが豊富に含まれています。
これらは、水やお湯によく溶けて、お茶として飲むことによって手軽に体内に取り入れることができます。
よく知られているように、ビタミンCは、体たんぱく質の約30%を占めるコラーゲンの生成に不可欠の栄養素であり、また生体組織を構成するたんぱく質や脂質、炭水化物、さらにはDNA(核酸)の過酸化を防ぎ、体内代謝や情報伝達の健全性を維持する上で、極めて重要な役割を果たしています。
一方、茶カテキン、特にエピガロカテキンガレートは、少なくとも試験管内のいろいろな実験で、ビタミンCを上回る強い抗酸化性があることがわかっています。
活性酸素・フリーラジカル(酸化ストレス)
私たちは、毎日、空気中の酸素を体に取り入れ、食事由来の食品成分を酸化的に代謝して、エネルギー
に変えて生活していますが、精神的、肉体的に強いストレス(不安や恐怖、死別、外界からの強い光や、放射線、様々な化学物質)を受けると、この酸素の一部は、活性酸素・フリーラジカルとなり、いわゆる「酸化ストレス」を引き起こします。
そして、がんや循環器系の疾患、呼吸器系、消化器系の疾患など、多くの病気の原因となります。
この生体内で生じる活性酸素・フリーラジカルと素早く反応して無害にするのが、実はビタミンCや茶カテキンです。
お茶、あるいは茶カテキンを1か月連続して摂取した人の体内でのDNA(核酸)の酸化生成物8-OHdG(8-ヒドリキシデオキシグアノシン、突然変異やがんに関するバイオマーカー)が、それらを摂取する前の脳や血中の値に比べて低いことが証明されています。
また、血中LDL(いわゆる悪玉コレステロール)の酸化(動脈硬化の発症に深く関連するバイオマーカー)に及ぼす緑茶抽出物の効果を調べた研究では、緑茶抽出物300mgを1日2回、朝食および夕食前に1週間摂取した22名のボランティアの血中LDLの抗酸化性は、緑茶抽出物を摂取しなかった場合に比べて増加していることが明らかになってます。
以上の他に、お茶にはリラックス作用があるといわれるテアニンが入っています。
「抗ストレス飲料」としてのお茶を常日頃から飲むことにより、生活習慣病の発生や老化を防ぎ、心身ともに健康な状態が維持できるものと思われます。
(参考資料:静岡県立大学名誉教授 冨田 勲氏)
緑茶カテキンと健康効果のまとめ 全10章
- 【第1章】緑茶は理想的な機能性食品
- 【第2章】緑茶はがんに効く?
- 【第3章】メタボ中高年に朗報
- 【第4章】風邪の予防 撃退
- 【第5章】免疫機能の調節
- 【第6章】老化と認知症の予防
- 【第7章】ストレスの緩和
- カテキンとテアニンのストレス緩和効果
- カテキンとビタミンCで酸化ストレスを防ぐ
- 【第8章】放射線による害を防ぐ
- 【第9章】食中毒と虫歯予防
- 【第10章】大規模栄養疫学調査
- 【1】緑茶は理想的な機能性食品
- お茶の食品としての機能は嗜好面での働き(二次機能)、生理機能の向上、疾病の予防や症状改善などの三次機能に分類されます。
- 【2-1】緑茶の抗がん作用
- 緑茶には健康維持に役立つ様々な成分がありますが、エピガロカテキンガレートと呼ばれるものが抗ガン作用の担い手のようです。
- 【2-2】発がん促進抑制効果
- 緑茶の有効成分は主にカテキン類と考えられています。発がん開始の抑制、発がん促進・進展の抑制、いろいろなメカニズムが明らかにされてきました。
- 【2-3】大腸ポリープの再発予防
- 緑茶を飲んでいる人が大腸ポリープの再発率が低いことがわかりました。一体どの程度摂取しているのでしょうか?
- 【3-1】カテキン作用で体脂肪が減る
- 高濃度の茶カテキンを継続して摂取することによって、日常活動時の脂肪燃焼量や食事から摂った脂肪の燃焼量が増大すること、肝臓や筋肉での脂質代謝が活発になることが確認されています。
- 【3-2】カテキンとカフェインは肥満を抑える
- 緑茶カテキンとカフェインのダブル作用で肥満抑制効果があることが実験で確認されています。
- 【3-3】体脂肪を低下させる
- カテキンが体脂肪を低下させる!?ガレート型カテキンの作用で食後の血液中の中性脂肪の上昇が抑えられます。
- 【3-4】血圧の上昇を抑える
- 緑茶ポリフェノール自身も活性酸素を除去する働きがありますが、緑茶を飲むと、体内の活性酸素除去酵素が増え、血管拡張が促進される結果、血圧上昇が抑えられると考えられます。
- 【3-5】脳卒中を防ぐ
- 茶カテキンによる脳卒中予防効果・脳障害軽減効果は茶カテキンがもつ、血圧を上昇させるホルモンの生成を抑える作用や、脳卒中が起きた時に生成される活性酸素を除去する作用が関係していると考えられます。
- 【3-6】動脈硬化を予防する
- 緑茶を飲むと、茶カテキンが消化管から吸収されて血中に入り、LDLの酸化が抑えられて、動脈硬化の発症・進展が予防できると考えられます。
- 【3-7】血糖上昇を防ぐ
- 茶カテキンには、糖質の吸収を穏やかにする働きがあります。食品中の糖質は、小腸で消化酵素(α‐グルコシターゼ)によってブドウ糖や果糖などに分解された後、体内に吸収されます。 茶カテキンは、このα-グルコシターゼの活性を抑えることで、体内への糖質の吸収量を減少させ、血糖値を低く抑える働きを持っています。
- 【3-8】糖尿病の予防と改善
- 培養細胞や動物を使った実験により、茶カテキンはアミラーゼ活性の阻害、肝糖新生の抑制、膵細胞の保護、インスリン分泌の促進、筋肉へのブドウ糖取り込みの促進、抗炎症作用など実にいろいろの作用を通して抗糖尿病作用をあらわすことがわかってきました。
- 【4-1】ウイルス感染を防ぐ
- 緑茶にはインフルエンザウイルスや風の原因となるウイルスを無効化する成分のエピガロカテキンガレートやストリクチニンという成分が含まれています。
- 【4-2】緑茶カテキンとインフルエンザ
- 緑茶カテキン抽出物でうがいをした結果、水のうがいと比べてインフルエンザの発症が減少したという報告があります。
- 【5-1】エピガロカテキンが粘膜免疫系強化
- 緑茶カテキンの中のエピガロカテキン(EGC)という成分は、粘膜免疫系を活性化して病原体の侵入を防ぎます。
- 【5-2】花粉症やアレルギーに効果
- ガレート型カテキンのガレートの一部がメチルエーテル化された茶カテキンのメチル化カテキンは抗アレルギー作用を発揮することが分かっています。
- 【6-1】アンチエイジングと美容効果
- 緑茶には茶カテキンと美容効果に優れ、皮膚や血管の老化を防ぐビタミンとして知られるビタミンCを始め美容に効果のある成分がたっぷり含まれています。
- 【6-2】認知症予防と抗ストレス作用
- 緑茶にはカテキンとテアニンと呼ばれる成分が脳の老化を防止することが分かってきました。テアニンには抗ストレス効果もあることがわかってきています。
- 【7-1】ストレス緩和効果
- 緑茶のストレス緩和効果にはカテキンとテアニンが作用していると考えられます。テアニンの抗ストレス作用は注目です。
- 【8-1】緑茶抽出液に放射線防護効果
- 緑茶抽出液に放射線防護効果があることが報告されています。 茶カテキンなどの緑茶に含まれる成分が、ラジカル種を消去し、様々な障害を取り除きます。
- 【9-1】殺菌作用と食中毒予防
- 強力な茶カテキン「エピガロカテキンガレー」が食中毒原因菌を殺菌し、解毒作用を発揮します。
- 【9-2】虫歯予防と口臭予防効果
- 茶カテキンが虫歯を予防、口腔衛生を保ち、口臭も予防します。茶カテキンは様々な甘いお菓子や歯磨き、赤ちゃん用ウェットティッシュに利用されています。
- 【10】大規模栄養疫学調査「掛川スタディ」について
- 静岡県総合保健センターが発表した自治体別の統計によると、脳梗塞・脳内出血・虚血性心疾患などの5項目において、掛川市はどの項目についても県平均より患者数が少なく、健康指標に優れた地域であることがわかります。