緑茶カテキンの研究結果をまとめました
みなさんに緑茶や茶カテキンのすばらしさを知っていただくために、2012年に社団法人静岡県茶業会議所が生産者と茶専門商の方々の販売能力拡大のために作られた緑茶の効能入門書をまとめました。
緑茶は「延齢の妙薬、養生の仙薬」と栄西禅師が言ってたように、最近の科学技術や医学の進歩により、緑茶やカテキンの健康効果について解き明かされつつあります。
最新の研究によりカテキン効果が解明
これまでに報告、指摘されたことを上げますと、抗がん、抗肥満、抗酸化(老化防止)、抗ウイルス、抗アレルギー、抗ストレス、抗菌というように「抗」だけで代表される、防ぐ、予防する、抑える、減らす、緩和するなどの作用があげられています。
普段から緑茶をお飲みいただいている方や、あまり飲まれない方、緑茶とカテキン、その他緑茶健康成分の効用について再確認したい方など、様々な方に緑茶の良さを知っていただき、静岡緑茶が世界中に広まって多くの方に健康長寿を実現して頂きたいと思っています。
緑茶カテキンと健康効果のまとめ 全10章
- 【第1章】緑茶は理想的な機能性食品
- 【第2章】緑茶はがんに効く?
- 【第3章】メタボ中高年に朗報
- 【第4章】風邪の予防 撃退
- 【第5章】免疫機能の調節
- 【第6章】老化と認知症の予防
- 【第7章】ストレスの緩和
- 【第8章】放射線による害を防ぐ
- 【第9章】食中毒と虫歯予防
- 【第10章】大規模栄養疫学調査
緑茶は理想的な機能性食品食は「自分自身で健康をコントロールできる最も身近な手段である」ことから、食生活を改善するとともに、食品に含まれる機能性成分を多く、効率よく摂取することは、生活習慣病の予防に大変役立つと考えられます。食品としての緑茶の機能分類食品の機能は、栄養面での働き(一次機能)、味や香りなどの嗜好面での働き(二次機能)、生理機能の向上、疾病の予防や症状の改善での働き(三次機能)に分類され...
緑茶の抗がん作用今から25年ほど前に、静岡県のお茶処 中川根町(現川根本町)では胃がんによる年齢調整した死亡比が低く、全国平均100に対し、男性では20.8、女性では29.2という驚くべき結果が発表されました。この結果をお茶と関係付けた研究をきっかけに、一躍緑茶の抗がん作用の研究が進みました。多くのマウスやラットを使った実験では、発がん剤を投与した動物に緑茶を飲ませると、発がん率が減少すること、が...
緑茶の発がん促進抑制効果緑茶のがん予防に関する研究が本格化したのは1980年代からで、試験管内の実験から始まり、動物や人を対象とした研究へと進んできました。動物実験までの段階では、圧倒的に多くの事例で緑茶は発がん抑制に有効であることが示されています。現在、人のがん予防において緑茶の引用が有効であるかどうかに関心が向けられていますが、臨床介入研究や疫学研究に多くの困難が伴うため、国際機関(World...
大腸ポリープの再発予防大腸ポリープ(腺腫)は大腸がんの前がん病変であり、大腸ポリープの切除は、大腸がんになる危険性を減少させると考えられています。また、大腸ポリープは、内視鏡を使って切除した後も、数年のうちに再発しやすいことが知られています。内視鏡的に大腸ポリープを切除した患者さんに、普段通り緑茶を飲んでいただいた上で、緑茶抽出物(1日1.5g)をサプリメントとして摂っていただいたところ、摂取して...
カテキン作用で体脂肪が減る高濃度茶カテキンを継続して摂取すると、体内の脂質代謝活性が高まり、エネルギーとして脂肪を消費しやすくして、体脂肪を低減させる効果があることがわかりました。すなわち、やや太めの男女80名を2群に分け、食生活及び運動量を日常生活そのままに維持した状態で茶カテキンを含む飲料を1日1本、12週間継続して飲んでもらう試験を行いました。その結果、高濃度茶カテキン飲料を継続して飲んだ群...
カテキンとカフェインは肥満を抑える近年、日本でも脂肪が多い西洋型の食生活が一般的になっており、その結果、社会問題にもなっているメタボ(メタボリックシンドローム)の患者さんが増えています。メタボの主な原因は肥満です。肥満になると高脂血症や高血圧などになり、糖尿病へと進展します。さらに、動脈硬化症の原因ともなり、その結果、死につながる心筋梗塞や脳卒中などの疾患が引き起こされます。日本でも、すでに成人の...
体脂肪を低下させる血中中性脂肪上昇抑制作用摂取した脂肪は、膵臓から分泌される消化酵素(リパーゼ)によって分解され、小腸から吸収され血管に入ります。この為、食後に血中の中性脂肪が一時的に上昇し、その後代謝されます。しかし、代謝異常等により血中の中性脂肪が高い値を持続すると体脂肪や内臓脂肪が蓄積して肥満の原因になることが知られています。肥満は心筋梗塞や脳梗塞などの様々な病気の危険因子となります。ガレー...
血圧の上昇を抑える毎日120ml(湯のみ1杯程度)以上の緑茶を1年以上飲み続けている人は、緑茶を飲む習慣がない人に比べて高血圧を発症する危険性が46%低い、という疫学調査の報告があり、習慣的にお茶を飲むことによって高血圧を予防できる可能性が示されています。緑茶の血圧への影響を調べるため、茶カテキンが主成分である緑茶ポリフェノールの水溶液を高血圧モデル動物に3週間飲ませると、高血圧モデル動物は加齢に...
脳卒中は介護が必要となった原因の第一位脳卒中とは、脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血、くも膜下出血)することにより、脳内の細胞の一部が壊死したり、働きが悪くなってしまい、手足の麻痺や意識障害などの神経症状が現れた状態をいいます。脳卒中は、悪性新生物(がん)、心疾患に次いで、第3位となっています。しかし、脳卒中の患者数は、高齢化に伴い、今後も増加することが予測されています。脳卒中の特徴...
動脈硬化を予防するコレステロールは細胞膜の構成成分であり、低密度リポタンパク質(LDL)はこのコレステロールを肝臓から血管を通って末梢組織へ運ぶ重要な役割をしています。末梢組織はコレステロールを十分取り込むとそれ以上コレステロールを取り込みません。そのため必要以上のコレステロールがあると血中のLDL濃度が上がってきます。長期間LDLが血液中にあるとLDLは内皮下に浸潤し、酸化されて酸化LDLとなり...
血糖上昇を防ぐデンプンや砂糖などの糖質を含む食品を食べると、血糖値が上昇します。これは、糖質が小腸にある消化酵素によって分解され、吸収されて血中に入るためです。血糖値が上昇すると、インスリンが分泌され、血糖値を正常値まで下げるように働きます。健康な人の血糖値は、インスリンなど様々なホルモンの働きによって一定の範囲内に調節されています。この血糖値の調節機能が何らかの原因で低下し、血糖値が高くなってし...
糖尿病の予防と改善、多様に効く糖尿病は、食後の高血糖や高血糖状態の慢性化など血糖値が病的に高い値を示す病態です。糖尿病にはいくつかのタイプがあり、我が国の糖尿病の約9割が食事や運動など様々な生活習慣が原因となって起こる2型糖尿病であるといわれています。高血糖状態を治療せずに長期に放置すると、毛細血管の障害がおこり、網膜症、腎症、神経障害などの糖尿病合併症の起こる頻度が高くなります。糖尿病の治療は病...
ウイルス感染を防ぐ緑茶にはインフルエンザの原因となるウイルスや小児の風邪の原因となるウイルスに直接作用して、これらのウイルスの感染を無力化する成分が含まれています。茶カテキンはその代表です。インフルエンザウイルスは、ウイルス粒子の表面からスパイク状に突き出した2種類のたんぱく質を利用してのどや鼻腔の細胞に感染します。茶カテキン以外にストリクチニンという成分も強力効果茶カテキンは、スパイクタンパク質...
緑茶カテキンでインフルエンザの予防対策インフルエンザは、主に冬季になると猛威を振るう急性の重傷上気道感染症です。感染はインフルエンザウイルスによって起こり、飛沫や接触により流行が拡がります。感染力が非常に強く、肺炎、脳症に進展することもあり、その予防対策は非常に重要です。インフルエンザの予防対策には、ワクチンの接種、手洗い、マスクの着用、うがいのが励行などがありますが、どの方法をとってみても万全と...
エピガロカテキンによる粘膜免疫系の活性化冬が近づくと誰もが気になる風邪やインフルエンザ。生体は、免疫系の活性と抑制のバランスをうまく制御することにより、病原体が体内に侵入するのを防いでいます。しかし、様々な原因で免疫能力が低下する、すなわち病原体に対するバリアが弱まると、感染症にかかる危険性が高くなります。粘膜免疫系の働きを良くするエピガロカテキン(EGC)呼吸器や消化器などの外界と接する粘膜は、...
メチル化カテキンが花粉症などアレルギーに効果アレルギーは、粘膜にあるマスト細胞や血液にある好塩基球上にlgEという免疫グロブリンとアレルゲンが結合してヒスタミンが放出されることによって始まる過剰な免疫反応です。メチル化カテキンは、エピガロカテキンガレート(EGCG)やエピカテキンガレート(ECG)のガレートの一部がメチルエーテル化された茶カテキンで、「べにふうき」、「べにほまれ」んばどの品種に多く...
肌の老化予防と美容に効果ビタミンは人の健康や生命の維持に必須の微量栄養素として、20世紀の全般に発見されたもので、現在13種類が知られています。それらは、水溶性のもの(ビタミンB1、B2、B6、B12、C、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸)と油溶性のもの(ビタミンA、D、E、K)に大別されます。茶葉には、これらビタミン13種類のうち、ビタミンDを除く12種類のすべてが含まれています。茶カテ...
脳の老化を防ぎ、認知症を予防する日本では高齢者が急速に増加していますが、それに伴い認知症の患者数も急増しています。認知症は高齢になるほど患者数が増えることから「年をとること(加齢)」は認知症の最大の危険因子です。また、アルツハイマー病を含め認知症は、完全に治癒できる方法がまだないことから「予防」が最も重要となります。「年をとること」は止められませんが、老化を予防することにより、認知症となる危険率を...
緑茶成分がストレスに効く?新茶やおいしいお茶を飲むと、その味だけではなく香りや色からもホッとします。この現象は、お茶に含まれる成分で説明できるようになってきました。緑茶特有のアミノ酸であるテアニンは、脳で重要な働きをしているグルタミン酸に化学構造が似ています。そのため、テアニンも脳で何か作用をしているのではないかと考えれます。いくつかの動物実験の結果、動物に与えたテアニンは、脳に取り込まれ、脳内の...
酸化ストレスを防ぐ茶葉には抗酸化性のあるビタミンCやカテキン類などが豊富に含まれています。これらは、水やお湯によく溶けて、お茶として飲むことによって手軽に体内に取り入れることができます。よく知られているように、ビタミンCは、体たんぱく質の約30%を占めるコラーゲンの生成に不可欠の栄養素であり、また生体組織を構成するたんぱく質や脂質、炭水化物、さらにはDNA(核酸)の過酸化を防ぎ、体内代謝や情報伝達...
放射線による害を防ぐ近年、放射線の生体への影響が大きな問題となっています。放射線はα線、γ線、X線などに分類され、これらによって体の中の水が分解されて、不安定なヒドロキシラジカルなどの活性酸素種(ラジカル種)ができます。これらのラジカル種は体の構成成分である核酸、たんぱく質、脂質などと反応して、様々な障害を引き起こし、場合によっては発がんにもつながるといわれています。したがって、放射線被ばくによる...
食中毒予防の切り札細菌性食中毒は食中毒の約5割を占め、毎年1万人前後が発症しています。原因菌としては、カンピロバクター、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌O-157などが主なものです。細菌性食中毒は2つのタイプに分かれ、カンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオは感染型で、黄色ブドウ球菌、O-157は毒素型です。黄色ブドウ球菌は、食べ物内で増殖して腸管毒を作り出します。この...
虫歯予防と口臭改善普段からお茶を飲む日本人、食後にはお茶を含み、すすぎ飲みします。すると、口の中がさっぱりし、また食べ物のにおいなども消えてしまいます。さらに、虫歯や歯周病などの原因菌に対しても抗酸化作用を発揮することが様々な研究でわかり、人でも確かめられてきました。虫歯菌は、口の中で砂糖があると不溶性の粘着性グルカンを作り、これが他の微生物と共に歯に付着し歯垢を作ります。この歯垢の中で酸が作られ...
大規模栄養疫学調査「掛川スタディ」について最近、厚生労働省から静岡県は都道府県で一番健康寿命が長いと発表されました。静岡県は肥満度も低い方ですし、がん標準化死亡率も低いことが注目されます。脳・心臓血管障害などの動脈硬化性疾患は、治療・リハビリ・介護などで長期にお金のかかる病気です。静岡県総合保健センターが発表した自治体別の統計によると、脳梗塞・脳内出血・虚血性心疾患などの5項目において、掛川市はど...